祈り

 

風が凪いだ。

柾木は一筋、透明なキラキラ光る涙を流していた。

 

 

 

 

ガーデンウェディングは

花嫁の所望で行われた。

 

「いやあ、砂原あ!!すげー別嬪捕まえたなあ!!」

「そーか?」

「ちょっと!そこは肯定しなさいよ!」

 

会場は和やかな雰囲気。

柾木も笑ってる。

 

 

俺たちは

 

もう

 

恋人じゃない。

 

 

そのとき

 

そのとき見た

 

柾木の涙。

 

 

ばかやろう。

 

俺の馬鹿野郎。

 

何で俺まで泣くんだよ。

 

 

愛してる愛してる愛してる

 

急激にこみ上げて来た愛おしさが堰を切って

 

かつての恋人の手を引き、会場を抜け出し

 

全力で抵抗する柾木を、抱いた。

 

何度も殴られ蹴られ拒まれた。

その度に柾木の頬を打ちみぞおちに蹴りを入れて

 

血だらけになったタキシードとシャツを肌けさせて

2人とも涙で顔をぐしゃぐしゃにウせて

1年ぶりに

 

繋がった。

 

 

快感なんか無かった。

 

ただ胸がごうごうと焼かれるのが解った。

 

「・・・いしてる。千春。」

もう、嗚咽まじりで何を言っているか解らない俺に、柾木がはっきりと言った。

「死、ね!!俺だって!愛、し、てる!!!」

 

 

 

このまま

 

どうか、このまま時を止めてください。

 

俺は初めて神に祈った。

柾木との永遠を祈った。